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公正証書遺言だから安心、ではない

最近は、遺言作成に関する一般的な情報が充実しています。

 

 

司法書士などに相談せずに、直接、自分で作成した下書きをもって公正証書遺言を作成される方もいらっしゃるでしょう。

 

 

しかし

 

「公正証書」で「遺言」を作成すれば、それで安心、というわけではありません。

 

ちょっとしたことを見落として

 

かえって迷惑をかけてしまった、そんなことがないようにしたいですね。

包括遺贈

お世話になった近所の犬山さんと猫田さんへ財産を半分ずつあげたい

 

と思ったとします。

 

犬山さんへ相続財産の2分の1、猫田さんへ相続財産の2分の1 を遺贈する

 

そんな内容の遺言書を作成したら、どうなるでしょうか?

 

 

・「包括遺贈」2分の1のような一定割合又は全部を与える場合のこと
・「特定遺贈」○○の預金は・・・などのように特定の財産を与える場合のこと

 

本件の遺言は、「包括遺贈」のケースで、犬山さんたちは「包括受遺者」です。

 

まず、

 

実際に具体的財産を犬山さんがもらうためには、猫田さんと複雑な協議をしなければなりません。

 

 

さらに

 

 

犬山さんも猫田さんも、「権利」だけでなく、「義務」までも背負うことになります。
民法990条は、包括受遺者は「相続人と同一の権利義務」を有すると定めているからです。

 

借金があれば、それも押し付けるかもしれません。

 

民法には「受遺者は、遺言者の死亡後、いつでも、遺贈の放棄をすることができる」(民986)とあるから、

 

イヤなら放棄すればいいじゃん、

 

と思うかもしれませんが

 

犬山さんたちのような包括受遺者には、この「いつでも」とある規定は適用されません。
なぜなら、相続人と同じ義務を負う「包括」遺贈者だからです。

 

いつでも放棄ができるのは、「特定」受遺者だけです。民法986条は「特定」受遺者のための条文なのです。

 

 

相続人と同一の権利「義務」を負う「包括」受遺者が放棄するためには、

 

「3か月以内」という制限があります(民990、915)。

 

ここで
借金なんか無いから大丈夫、という前に、今一度、誰かの連帯保証人なっていないか、確認しましょう。

 

連帯保証債務は、忘れがちで危険です。

 

 

 

包括遺贈は慎重に

 

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こみや司法書士事務所 小宮愛子

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